【翻訳】屈辱はない! リュ・ジョンハンの輝かしいキャラクターたち

   2016/08/28

韓国の公演情報を扱うメディアPLAY DBにリュ・ジョンハンさんを紹介する記事が載りましたので、翻訳してお届けします。
(元記事 PLAY DB キム・ソンギョン記者)

屈辱はない! リュ・ジョンハンの輝かしいキャラクターたち

リュ・ジョンハン

 2009年「殺人魔ジャック」で初演後、2010年「ジャック・ザ・リッパー」とタイトルを変えてほぼ毎年公演されてきた人気ミュージカル「ジャック・ザ・リッパー」の2016年再演のニュースはいつになく話題を集めた。その理由は大韓民国最高の俳優であるリュ・ジョンハンのキャスティングが伝えられたからだ。

 ソウル大学声楽科出身で 1997年ミュージカル「ウェストサイドストーリー」でデビューしたリュ・ジョンハンは、誰もが認める現在大韓民国最高のチケットパワーを誇るミュージカル俳優だ。 ミュージカルをよく見る観客でなくとも、好きな俳優がいなくとも、劇場の“今日のキャスティングボード”に彼の名前があれば安心して観てよい、好きではないという人がほとんどいない数少ない“信頼して見ることができる俳優”と言えるだろう。

リュ・ジョンハン

リュ・ジョンハンという名前三文字は、それ以上の意味を持っている。リュ・ジョンハンが出演した作品ヒストリーは、すなわち国内ミュージカルの歴史だと言っても過言ではないくらい、韓国ミュージカルの歴史はリュ・ジョンハンという名前を抜きにしては語れないからだ。
リュ・ジョンハンはこれまで19年間 (PLAY DBに登録された公演基準) ミュージカル 91編に出演した。90年後半に「三姉妹」を含めて演劇 3本とドラマと映画各1編 (映画はシン・チュンス代表がミュージカルの製作環境を扱った「素敵な人生」というミュージカル映画だ) に出演した経歴をのぞいては、常にミュージカルに集中した。19年間彼が選択したミュージカル作品と彼が演じたキャラクターにはほとんど共通項はない。

リュ・ジョンハン
(左側から 「ラ・マンチャの男」 ドンキホーテ(セルバンテス), 「フランケンシュタイン」ビクターフランケンシュタイン)

「ジキル&ハイド」や「ラ・マンチャの男」、「オペラ座の怪人」のような超大型ライセンスミュージカルはもちろん、「英雄」「フランケンシュタイン」「マタハリ」など創作ミュージカル初演作にも積極的に出演する。献身的で柔らかい男(シドニーカールトン)を演じたかと思えば、目的だけを追う冷たい男(ラドゥー大佐)を演じたり、歴史的使命感と熱い心臓を持つ実在の人物(安重根)になったりする。

来年デビュー 20年になるリュ・ジョンハンは、一年の間ほとんど休まず常に新しい姿で観客の前に立ち、観客はこのような彼のミュージカルに対する集中力と愛情、そしてほとんど完壁主義に近い確かな実力(歌唱力と演技力、舞台マナー)を基にした、全く異なった新しいキャラクターに熱狂し、好感を持って受け入れてきた。

リュ・ジョンハン
(左側から 「二都物語」シドニーカールトン, 「マタハリ」ラドゥー大佐、「英雄」安重根)

 多様な作品の初演に絶え間なく挑戦するリュ・ジョンハンには、特別な哲学が感じられる。
彼は 「ミュージカルが、わが国において重要な文化ジャンルの1つとして認められるよう一助を担いたい」と語り、「世の中すべてのことが貴いが、われわれの仕事(ミュージカル)は特に貴く、多くの人の愛を受ける仕事であればあるほど感謝の気持ちを忘れず一層努力すべきだ」とも語っている。

ミュージカルに対する愛情と哲学を持つ彼は、ジャンルを超えた作品と多様なキャラクター、初演を恐れない。 リュ・ジョンハンが19年のミュージカルキャリアの中で最も輝く(そしてレアな) キャラクターを5つ選んでみた。

屈辱はない! リュ・ジョンハンの輝かしいキャラクターたち

リュ・ジョンハン
ミュージカル 「オペラ座の怪人」 2001年初演 LGアートセンター
ラウル役

 リュ・ジョンハンは「オペラ座の怪人」 初演当時、クリスティーン(当時キム・ソヒョン)の婚約者であると同時にファントムの恋敵である貴族の青年ラウル役を引き受けた。2001年 「オペラ座の怪人」初演は、それ自体が祭典であったし、国内ミュージカル市場の可能性をはかるべき作品であった。2001年「オペラ座の怪人」は、わが国のミュージカル産業の土台ともいうべき礎になった作品であると同時に、俳優リュ・ジョンハンにとってミュージカル俳優として今の地位を築くきっかけとなった作品だと言えるのではないだろうか。
リュ・ジョンハン
ミュージカル「ジキル&ハイド」2004年初演COEXオーデトリウム
ジキル/ハイド役

 韓国ミュージカルの観客たちが最も愛するミュージカルの一本である「ジキル&ハイド」の初演は2004年 COEXオーデトリウム。 この「ジキル&ハイド」はリュ・ジョンハンだけではなくチョ・スンウという “ミュージカル”俳優の登場を知らしめた作品でもある。リュ・ジョンハンは2004年 2006年 2008年 2009年「ジキル&ハイド」に出演後、しばらく作品から遠ざかっていたものの2014年-2015年に再出演。 観客は“満員御礼”で、リュジキルのカムバックを歓迎した。

リュ・ジョンハン
ミュージカル 「エビルデッド(死霊のはらわた)」 2008年初演忠武アートセンター
ブラックアッシュ役

 名前でもうお気づきだろうが、多くの続編を作り出しホラーファンにとって必須コースでありスプラッタームービーの元祖である 「エビルデッド(死霊のはらわた)」。
そう、 あの映画だ。
アメリカの低予算 B級ホラー、カルト映画である「エビルデッド」を原作にしたミュージカルで、ミュージカルバージョンは心なしかコミカルだ。比較的最近ミュージカルを見始めた観客にはこの類のリュ・ジョンハンの作品はここ何年間上演されていないのできっと想像しづらいであろうと思う。

 リュ・ジョンハンが引き受けたアッシュ役はまっすぐな青年だが、劇が進むにつれどんどん図々しくなる。リュ・ジョンハンはコメディーもイケる、 それもカルトジャンルで?!
リュ・ジョンハンはPLAY DBのインタビューで、またやってみたいミュージカルとして「エビルデッド」のようなB級ミュージカルや「ナンセンス・ジャンボリー」をあげていたので、再演を楽しみに期待したいものだ。

リュ・ジョンハン
ミュージカル 「スリルミー」 2007年初演忠武アートセンター ブラック
ネイスンレオポルド役

 韓国ミュージカルの歴史上、もう一度見たいベストペアを挙げるなら 「スリルミー」のリュ・ジョンハン、キム・ムヨルペアではないだろうか。数多くのミュドック(ミュージカル中毒者)を量産した「スリルミー」の初演は2007年忠武アートホール ブラック。リュ・ジョンハン、キム・ムヨルペアが初日だった。(今なお語り草となっているリュ・ジョンハン、キム・ムヨルペアの歴史的な初日を観た。320席のうちの一人であったことは誇りであり、おかしな自負心さえ感じるのだから、いかにそのペアがすごかったということはご理解いただけると思う)
 キム・ムヨルは当時新人だったが、この作品の後すぐにドラマに映画にと活躍の場を広げた。
優秀な新人を発掘するならミュージカルを観に行けという話があったとかなかったとか…多くのキャスティング担当者がミュージカル観劇をしているというウワサが回っていたほどだ。

リュ・ジョンハン
ミュージカル 「スウィニー・トッド」2007年初演 LGアートセンター
スウィニー・トッド役

2006年 「ジキル&ハイド」以後 2007年から 2008年の間リュ・ジョンハンの作品選びは予測不可能だった。 2007年スチーブン・ソンドハイムの代表作である「スウィニー・トッド」が初演され、“当然”リュ・ジョンハンがスウィニー・トッドを役を熱演した。
スウィニー・トッドは作品の雰囲気に合わせたような不協和音が多く、典型的とは言えないそのメロディーは多少耳慣れない音楽とも言え、その分俳優には音楽的テクニックが要求される。

リュ・ジョンハンが引き受けたスウィニー・トッドでは、リュ・ジョンハンではなく、復讐に目がくらんだスウィニー・トッドだけがそこにいた(映画やドラマと違ってミュージカルでは、俳優の演技がいくら上手だとしても俳優本人の姿を消すことは難しい) 興行的には惜しいところがあったが、評論家も公演を観た観客も惜しみない賛辞を送った。

PLAY DB記事より  翻訳:リュ・ジョンハンプロジェクト

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