【翻訳】ミュージカル『シラノ』記者会見記事その3~「ミュージカル『シラノ』、ホン・グァンホをキャスティング、ギャランティの問題は?」

   2017/05/30

前回に引き続き、ミュージカル『シラノ』記者会見記事の翻訳をリュ・ジョンハンさんご自身の発言、およびリュさんに関する発言など抜粋してお届けします。(会見動画&記事その1記事その2

リュ・ジョンハン「ミュージカル『シラノ』、ホン・グァンホをキャスティング、ギャランティの問題は?」ミュージカル『シラノ』3

 
──ホン・グァンホをはじめ、スター俳優がキャスティングされた。ギャランティ(出演料)はどう解決したのか?

 
リュ:ギャランティは製作費の多くを占める。(今回のシラノは)キャスティングを誇りに思っており、皆さん、才能があり影響力のある人たちだ。非常に低い価格で出演を承諾して下さった。私もそうだが、彼らが作品を高く評価してくれた。作品について、自分が十分に輝けると判断した。そして私が安くしてくれと、強くお願いした。皆、後輩の方々だったが「すまない。少しだけ安くしてくれ」とお願いし、彼らは快く、作品を聞いた後で、参加すると言ってくれた。毎日、一日一日、奇跡のようにここまで来た。韓国でキャスティングが重要だということはお分かりだと思う。幸運にも、俳優の皆さんがよい価格でプロジェクトに参加してくれた。

 
──CJE&M公演事業本部(以下CJ)とパートナーシップを結んだ経緯は?

 
リュ:最初は世間知らずなままスタートした。自分のお金だけで進めた。自分が全てを行うつもりで、パートナーは必要ないと思った。その間、たくさん断られ、私もやはり、一人でできることではないと気付いた。私は良きパートナーをずっと探していた。投資家などにも数多く会ったが、私は感性を重要視した。結果ももちろん重要だが、私は過程が重要だと思う。ある投資家は「こうして、こうすればいいんですね」と話を終わらせる方もいた。

もしもその人が、たとえ僅か1万ウォンを投資したとしても、この作品が自分の作品だという愛情がなければいけないと思うが、大部分が結果だけを考えていた。
つらい状況の時にCJに出会った。もちろんCJは、多くの作品を成功させている、誰でもパートナーになりたい製作チームだ。私は大企業に対する少しの偏見を持っていた。見た目には万能な仕事をするように見えても、大企業の横暴によって足を引っ張られたり「お前に何が分かる」と、私を押さえつけるという偏見があった。

2回のミーティング後に、私のパートナーに出会ったと思った。大企業という偏見をカッコよく払拭してくれた。『シラノ』という作品を100%理解し、この作品をなぜ公演しなければならないのか、共感できるパートナーだった。今後、もしかして私がまたすることになったら、CJがもう一度よいパートナーになってくれたら嬉しい。CJと私がよい事例を残せたらと思う。

製作というと、単純に作ることだと思ったが、本当にたくさんの“お願い”をしてきた。
数えきれないほど断られたりもした。CJはとても多くの経験とツールがあり、完璧に大企業と私がパートナーになれるだろうかとも思ったが、CJが手を差し伸べてくれた。私はすぐにその手を取った。CJとパートナーになる前までは、悩みと不安があった。CJと手を握ったその日から、私はとても楽になり、胃が痛むことも無くなった。(笑)

 
──国内での初演の作品に数多く出演してきた。『シラノ』も国内で初演だが、特別な縁がある?

 
リュ:初演にこだわったわけではないが、多くの初演作に出演した。若い頃は、漠然と初演をしてみたかった。他の人がやったことがない作品を自分がやりたかった。その後は他の方がした公演もしている。初演の重要性は共感だ。作品では台本が一番重要だと思っている。音楽もそれと同じように重要だが、ライセンス初演は外国の感性を韓国の感性で表現しなければならない。クリエイティブチーム、俳優陣、すべてが共感しなければならない。いくら同じ国籍の演出でも、話が通じないケースがある。

外国人、韓国人だと分けずに、お互いにその作品に対して共感し、その作品がどんなことを伝えようとしているのか…、それに率直であってほしい。『シラノ』もそうだが、何億かかり、すごい俳優が出るとかよりも、淡泊に話すことができる物語を伝えたい。初演は常に成功するわけではないが期待を与えてくれる。面白くて新しいことだという楽しみをくれる。俳優やスタッフなど、関係者には、ものすごいプレッシャーとなる。

カッコよく表現し、思ったことをそのまま伝えれば、その初演は成功するだろう。3~4カ月の間、言い争いながら作り上げた作品なのに、ある俳優に対して、演技の途中で、関係者なのか誰だかは分からないが、何かを違う風に演じろと言ってきたり、プロダクションの影響で、内容を修正したりするケースを見てきた。それはプライドの傷つくことである。

観客が公演を見て「すごく最低、最悪」と言うことはあるだろうし、それに耳も傾けるが、その間、作ってきて約束したことが、何人かの人のせいで、壊されたり、振り回されたりしてはいけないと思う。三度目の公演ならば、すでに認められているから、そのまま進められるが、初演は振り回される場合が多い。気に入らないという話が出た時に、私たちが約束したことを最後まで守らなければならない。プライドを守り、最後まですれば、よい評価が得られるのではないかと思う。

 
──最近、女優のファン・イニョンさんとご結婚した。結婚したことで今回の『シラノ』に大きな助けとなったか? 加えて今年デビュー20周年だが、20周年公演の計画はある?

 
リュ:フランク・ワイルドホーンと食事をしていた時に彼が「トニー(リュ・ジョンハン)、君は、仕事以外に心から楽しめるものがある?」と聞いてきた。私は「ない」と言った。趣味があって、人々と会い、交流するわけでもなかった。フランク・ワイルドホーンは「結婚したら、新しい世界が開ける」と言った。もちろん結婚は、フランクがしろと言ったからしたわけではない。当時、恋愛中だったが、妻がこう私に言ってくれた。「つらい時、オッパ、とにかく、やりなさい。男なんだから、失敗することもあるわ。オッパは俳優として20年間頑張ってきたんだから。男は一回くらい失敗してみないと。失敗したら、私が稼ぐわよ」と、励ましてくれた。20周年に意味づけをしたくはない。30年以上、黙々とされている大先輩もいる。あえて言うなら「20年間、とても健気に公演してきたね」と、自分を褒めてあげたい。

多くのファンたちが「このまま、あいつは最後まで結婚もできず、ああやって年老いていくのでは…」と心配してくださった。幸運にも結婚という人生の一大イベントをすることができた。今年はこんな風に大きな意味のある年なので、次からは私がどんな風に歩むとしても、大きな責任感があるだろうし、使命感も感じる。ストレスを受けずに、楽しみながらいこうと思う。

 
──作品に対するヒントをお願いします。

 
グスタボ:韓国に来る前『シラノ』に対する研究をするためにフランスに何カ月か滞在した。韓国に到着した時、クラシックな「パリジャン」のお話をしようと思った。ところが、韓国で最近、革命的なことが起き、創作的なことが起きた。韓国のミュージカルは、とても若い。観客も演技者もすべて若い。アーティスト、プロデューサーにクラシックにいくか尋ねてみた。そして「私たちが必ずしもクラシックにいく必要があるだろうか?現代的にいっても良いのではないだろうか?」と思った。

他の『シラノ』の作品とは違って、現代的なダンスを含め、ダンスが多い。セットもクラシックに見えたりもするが、現代的な感じも受ける。衣装と照明も同じだ。観客の方々もソウルでも起きうる出来事だと思ってもらえたら嬉しい。“デザインを韓国から影響を受けたんだな”と、感じるだろうと思う。(上映時間はどれくらい?)ショーを全て終えていないので、確実ではないが、おそらく2時間30分くらいになるだろう。

 


原文はこちら
翻訳:リュ・ジョンハンプロジェクト

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