【公演解説】ミュージカル『ドクトル・ジバゴ』詳細あらすじ
『ドクトル・ジバゴ』概要
概要はinterparkの日本語ページをご参照ください。
『ドクトル・ジバゴ』詳細あらすじ
※曲名はすべてを載せているわけではありません。
※セリフ内容は正確なものというより、だいたいそのようなことを言っているとニュアンスで捉えてください。
※スタッフが舞台を見た記憶にそって制作していますので、細かな部分が違う可能性もありますが、そこはご容赦ください。
【1幕】
<1場> 1930年、モスクワ
ユーリ・ジバゴ(以下ユーリ)とラーラが向かい合って歌う。 「♪On the edge of time」
そのまま過去にさかのぼり、ユーリの父親の葬儀。 幼いユーリのそばには父親の仕事仲間の弁護士コマロフスキ―が立っている。コマロフスキーによって父親は破滅させられ死んだのだと思っている幼いユーリは、コマロフスキーがもっともらしいことを言っても「嘘だ」と反発している。
幼くして孤児となったユーリは父親の知人のグロメコ家に引き取られることになる。グロメコ家の娘トーニャから「今日から一緒に暮らそう」と言われるユーリ。
舞台上手ではグロメコ家。トーニャの母アンナが、二人は仲良く育ってゆくゆくは結婚するといいわねというようなことをほのめかしている。
舞台下手はドレスショップ。母に連れられて子供のラーラが登場。
コマロフスキーの援助で母親がドレスショップを開けることになる。
子供たちが歌うシーンからそのまま大人の俳優へ~
グロメコ家ではユーリとトーニャが話をしている。
ユーリは医学博士にまでなれたことを家族に感謝している。
2人はもうすぐ結婚することが語られている。
ドレスショップで働いているラーラ。
そこに駆け込んでくるラーラの恋人パーシャ。
パーシャは革命運動に参加している。
見つかったら危ないからと拳銃をラーラに預け、「危険なことはよして!」と心配するラーラをよそに再び街中に飛び出していく。
街中では革命運動の集会に軍隊が突入して大きな騒ぎが起こっている。
結婚式当日の準備を整えているユーリ。外が何やら騒がしい。式の当日にもかかわらず、けが人が出ているようだからけが人を治療しなくてはと出ていってしまう。
ドレスショップではコマロフスキ―がラーラに抱き着いてくる。
「私は結婚するのよ、やめて!」と拒絶するラーラだが、強圧的なコマロフスキ―から逃れられない。そんなただれた関係に嫌気がさし思いつめたラーラはパーシャから預かっていた拳銃を手に持ち店を飛び出していく。
軍との衝突でケガした学生をパーシャが連れてきて、出くわしたユーリに手当てしてもらう。
道ですれ違いざまに顔を合わせるユーリとラーラ。
1場は冒頭の葬儀シーンからここまでずっと「♪Two Worlds」という曲で演じられていく。
<2場>グロメコ家でのユーリとトーニャの結婚披露パーティー
コマロフスキ―もいて祝辞を述べている。「♪Ballroom Scene」
みんなが楽しんでいるところにそっと入ってくるラーラ。
ダンスを踊る振りをしてコマロフスキ―めがけて銃を発砲するが弾は外れて違う人に当たってしまう。
騒然となる会場。
ユーリはけが人の手当てをする。
ラーラはコマロフスキーの指示で逮捕もされずにことは穏便に済ませられる。
ラーラとコマロフスキ―の会話から2人の関係性を推察するユーリ。
ユーリも自分の父親がコマロフスキーに裏切られて非業の死を遂げたと思っているので、勇気を出して発砲したラーラにシンパシーを感じた様子。
彼女はいったい誰なのか? と心にかかっている気持ちを歌う。
「♪Who is she?」
<3場>
時間が流れ、ラーラとパーシャの結婚パーティーが開かれ、仲間たちが賑やかに祝っている。「♪It’s a Godsend」
<4場> 舞台の上手はグロメコ家
戦場に軍医として従軍するユーリが出発の準備をしている。
既に赤ん坊が生まれている2人。
ユーリとトーニャは別れがたい気持ちで、月の光を眺めながらお互いのことを思い合おうと歌う。
「♪Watch the moon」
<5場> 舞台下手はラーラとパーシャの家
初夜を迎える二人。「正直言うと僕はこういうことになれていなくて~」ともじもじするパーシャ。そして「夫婦になるのだからお互いに正直になろう」という純粋なパーシャを見ながら、ラーラは無かったことにしようと思っていた自分のみじめな過去のことを隠しておけなくなる。
そして、コマロフスキーとの過去を告白する。「♪When the Music Played」
それを聞かされたパーシャはショックで、「ブルジョワのやろうめ!」と叫びながら出ていってしまう。そんなパーシャを追いかけるラーラはちょうど戦場に出発しようとしていたユーリとすれ違い、傘を手渡される。
<6場> 戦場
そこからまた時間は流れ。戦場の場面。過酷な状況下でドイツと戦っている兵士たち。
「♪March Transition」
「♪Forward March for the Tsar」
<7場> 野戦病院のテント
ユーリは眠る間を惜しんでけが人たちの治療に当たっている。
そこに看護婦助手としてやってきたのが、行方知れずの夫を探すために看護婦助手になったラーラだった。ユーリは一目で、以前から気になっていた女性だと気が付く。
自己紹介し合う2人。
ラーラはユーリの名前を聞いて、「あの詩人の?」とびっくりする。
「ここでは僕が詩を書いているということは秘密にしてほしい」と言うと、ラーラは「あなたの詩が、モスクワでどれだけみんなに読まれているか」と言って、モスクワにいた時に読んだユーリの詩「雨の中に立つ女性」のことを話す。
でも実はその雨に立つ女性のモデルはラーラのこと。
ラーラはそんなことは知るはずもなく無邪気にユーリの詩のすばらしさを語るので、ユーリはちょっとおかしくなって「その詩の女性は僕が持っていない情熱を持っている」と語りながら含みを持たせた眼差しをラーラに向ける。
ドキッとするラーラ。
慌ててその場を出ていこうとすると負傷兵が倒れ込んでくる。
必死に治療に当たるユーリとラーラ。
愛する女性がいるのにまだ告白できていないのだという負傷兵をラーラは必死で励まして治療はうまくいく。喜び合うユーリとラーラ。
<8場>
グロメコ家ではトーニャがユーリから来た手紙を読んでいる。
そこにはラーラのことがすごく褒めて書かれていて、トーニャは不安な気持ちになる。
看護婦たちが語らいをしている。
ラーラは負傷兵の青年に好きな女性のカテリーナにラブレターを書くようにすすめる。
どう書いたらいいかわからないという青年にラーラがアドバイスしてあげる。
そうしていると戦争が終わったというニュースが入る。
これでみんな故郷に帰れると喜び合う人々。「♪Home Where the Lilacs Grow」
ユーリもラーラのところに駆けつけるが、それぞれの家族のもとに帰れるねと顔では笑いながら複雑な思いにとらわれる二人。
<9場>
モスクワでまた会えるかと聞くユーリに、自分はモスクワには嫌な思い出が多いのでユリアチンという町に行くと語るラーラ。
離れがたいユーリに対してラーラは「良い友達になれて良かったわ」と吹っ切って行こうとする。
そこに以前二人で助けた負傷兵が瀕死の状態で倒れ込んできて、手紙を握りしめたまま亡くなってしまう。
その手紙にはラーラのアドバイスで書いた恋人への想いがしたためられていた。
それを交互に読み上げる2人。 「♪Now」
「君に会うたびに、私は心臓が破裂しそうだった、
君のそばにいるときに、私は君の手を握りたかった…
今だ、明日では遅い。明日はこないかもしれない。
打ち明けたい思い。この思いをもう隠すことはできない~」という、まるで自分たちの気持ちのような手紙を読み上げながら気持ちが高まっていく二人。
そしてついに強く抱き合い想いを確認し合ってしまう。
でも二人はそのまま別れることに。
戦争後の秩序の混乱の中でパーシャが頭角を現し人々を鼓舞していく。
「♪Blood on the Snow」
<10場> モスクワのグロメコ家
ユーリが戻ってくると家は党の方針によって共同住宅として使われていた。
息子のサーシャと対面するも「おじさんが誰だか知らない」と言われてしまうユーリ。
共産党員からブルジョワが富を独占する時代はもう終わったのだと言われてしまう。
共産党委員会に呼び出されるユーリ。
世渡りの上手なコマロフスキ―は、ここでも権力者になっていた。
党の言うことに素直に従えないユーリは党から目をつけられる。
<11場>
食事も配給制で暖房も自由に付けられずわびしい生活を余儀なくされているユーリ一家。
ユーリは自分が何の役にも立てないことにいら立ちを覚える。
そして一家は昔の縁のあった土地に疎開しようということになる。
でもその場所がユリアチンだと知って反射的に「そこはダメだ!」と拒否してしまうユーリ。
<12場>
「なぜこの広い世界で、なぜよりによって彼女がいる場所なのか。
良心に従おうと気落ちを押さえているのに~」とラーラがいる場所へ行くのをためらいながらも、それでも家族のためにはどこにでも行かなければと葛藤の末、列車でユリアチンに旅立つことにするユーリだった。
「♪Yuri’s Decision」
1幕終わり
【2幕】
<1場>
ユリアチンの女たちが畑に種まきをしている。「♪Woman and little Children」
<2場>
列車でユリアチンに到着したユーリの一家。
トーニャの母はこの旅の前に亡くなったということを匂わせる会話がされている。
だが、駅に着くなりユーリは何者かに拉致されてしまう。
<3場>
列車の中のストレリニコフの執務室に連れてこられたユーリ。
ストレリニコフはかつてのパーシャが名前を変え、残忍な革命家になった姿だった。
ストレリニコフはブルジョワへの憎悪をあらわにする。
そして戦場でラーラという女性と会わなかったかと尋ねる。
「素晴らしい看護婦だった。もしや彼女の行方不明の夫がどうなったか知らないか?」と聞くとストレリニコフは「彼女の夫はずいぶん前に死んだ」と吐き捨てるように言う。
そこに敵と疑われた人物が引っ立てられてくる。
「♪No Mercy at All」
ユーリの妻が探しに来たと聞かされたストレリニコフはユーリを解放し、連れて来られた男のことは冷酷に殺してしまう。
<4場>
新しい家で過ごすユーリ一家
トーニャの父が孫のサーシャに語りかけている。「♪In this house」
「ここに来るんじゃなかったわ」とモスクワよりも不安に駆られているトーニャ。
ユーリは「どこにいても安全な場所はない。静かに暮らせばいい」となだめる。
でもトーニャはユーリが詩を書いていないことが気になっていた。
「あなたが心の安息を得られて詩を書いてほしい」
「僕の心はここにある家族と一緒に」
「わかったから明日は絶対に図書館に行っててね」とユーリを図書館に送り出すトーニャ。
<5場>
ユリアチンの図書館で働いているラーラ。
同僚との会話で、夫であるパーシャのことよりも忘れえぬ人ユーリのことを思い出してい
る。「♪He’s there」
<6場> 図書館そばの道
ユーリとラーラはばったり会ってしまう。
ユーリもラーラも最初は信じられない思いだが、引き合うように駆け寄って抱き合い、お
互いの無事を喜びあい、思いを抑えきれずキスを交わしてしまう。
でも次の瞬間ラーラは、夫であるストレリニコフが自分を監視していることを思いだし、
彼に見つかったら大変なことになるとおびえだす。
そんなラーラをなだめ、愛の気持ちを語るユーリ。
私たちは奇跡のような愛を見つけたのだと…
「♪Love finds you」
<7場>
コマロフスキ―もまだラーラへの未練に苦しめられていて、ストレリニコフもラーラへの愛が頭から離れない。
トーニャのユーリを愛する想いも加わってそれぞれの想いを歌に込めて歌う。
図書館の同僚はトーニャにユーリとラーラの関係を告げ口する。
<8場>
図書館。ラーラと再会し創作意欲を掻き立てられたユーリが詩を書いている。
つかの間の幸せな時間だったが、ラーラの同僚の密告によってユーリはパルチザンに拉致されてしまう。
ストレリニコフは「傷はつけるな。だができるだけ遠くに連れて行ってしまえ」と命令する。
<9場> パルチザンのキャンプ
過酷なパルチザンでの生活
「♪Nowhere to run」
<10場> 図書館
帰ってこないユーリを心配したトーニャが息子のサーシャを連れて図書館のラーラを訪ねてくる。「私はあの人の妻なんです…ここに来れば夫の行方がわかるかと思って…」
お互い相手の前では気後れしてしまうけれどプライドもあるし…という、相手に複雑な気持ちを持ちながらも、一人の男を愛する女どうし、その気持ちを歌い合う。
「♪It comes as no surprise」
<11場> パルチザンのキャンプ
パルチザンと行動を共にして既に2年が経っている。
ユーリの前に気がおかしくなったような白軍一味の女性が引っ立てられてくる。
それが演技かどうか、医者のお前が調べろと言われるが、話をしているうちに女性はユーリのナイフを盗んで自害してしまう。
苦しむ女性を楽にしてやるためにユーリは銃で撃つ。
心底嫌気がさしたユーリはパルチザンからの脱走を試みる。
「♪Ashes and Tears」
<12場> 氷の宮殿と呼ばれるユーリの家
雪原を歩き疲れて倒れるユーリを見つけたラーラはユーリの家で看病に当たっている。
悪夢にうなされながら目覚めるユーリ。
家族の心配をするユーリにラーラはトーニャから託された手紙を渡す。
そこにはトーニャたちが命の危険を感じてパリに亡命したことが書かれていた。
「あなたを残していくのがつらいけれど、あなたを支えてくれる人がそばにいてくれると思うと少しは気持ちがらくだわ~」と、ラーラとの仲を認める内容も。
返事を書かなくては…というユーリをもう手紙を書いても届けるすべがないし、危険だと言うラーラ。
「命の危険と隣り合わせの日々だけど、残された時間がわずかならその日々を一緒に過ごしましょう」と言ってようやくユーリとラーラは結ばれます。
「♪On the edge of time」
<13場> 軍事聴聞会
力関係が変わって、これまでの残忍なやり口の罪で捕まっているストレリニコフ。
最後に何か言うことはないかと言われ、「世間は私のことを悪魔と言うが、私はただ一人愛した女の恥辱を晴らすことのために一生をささげたのだ」というストレリニコフ。
死刑を宣告され、自分で銃で頭を撃ち抜いて死ぬ。
<14場> 氷の宮殿と呼ばれるユーリの家
ユーリとラーラのところにコマロフスキ―がやってくる。
警戒する二人。
「ユーリはパルチザンと強制されたとはいえ2年行動を共にした。明日にもお前を捕まえに来るからラーラと逃げろ、おれが逃がしてやる」という。
拒否するユーリだが、コマロフスキ―はユーリに2人で話をしようと言ってラーラをはけさせたあと「ストレリニコフことパーシャが死んだから、妻であるラーラの身も危ない」と聞かされる。
ユーリは自分が意地を張ることでラーラまで道づれにするわけにはいかないと考え直す。
そして二人一緒だとさらに危険だからと、コマロフスキ―にラーラを託すことにする。
自分だけ先に行くのは嫌だと拒否するラーラを、笑顔で、自分もあとから必ず行くからと説得して送り出す。
「♪Now 」
そして万感の思いを込めてラーラへの想いを詩に書きとめるのだった。
<15場> 数年後のモスクワ
ユーリの葬儀に立ち会うラーラとユーリとの間にできた娘カテリーナ。
カテリーナがユーリが残した詩を読み上げると二人の思い出に浸るラーラ。
そんな彼女の前に若き日のユーリが現れラーラと見つめ合う。
「♪Final」
終わり
あらすじ製作:リュ・ジョンハンプロジェクト事務局
※転載はご遠慮ください。