【翻訳】復讐・切なさ・嫉妬…今年の冬のミュージカル、キーワードは“愛”

 

復讐・切なさ・嫉妬……今年の冬のミュージカル、キーワードは“愛”

『モンテクリスト』19日から忠武アートセンター
 ―単純でありながら明快なストーリーで共感

『アイーダ』来年3月までシャルロッテシアター
 ―大規模な舞台装置を投入して作り上げた豪華なセット

『ボディーガード』12月15日からLGアートセンター
 −舞台で再現する原作の感動に期待感

<写真キャプション>今年の冬を狙った大作ミュージカルのキーワードは“愛”だ。『モンテクリスト』(写真左側)は、婚約式の日に濡れ衣を着せられ監獄に閉じ込められた男の復讐と赦し
を通して永遠の愛を歌う。『アイーダ』(写真右側)は、古代エジプトを背景に戦争中に花開いた運命的な愛を描く。(写真提供:EMKミュージカルカンパニー、シンシミュージカルカンパニー)

 

[イーデイリー チャン・ビョンホ記者]
婚約式の日に濡れ衣を着せられ監獄に閉じ込められた男は、その苦しみを復讐で解決しようとする。残酷な戦争の真っ只中で敵として出会った二人の男女は、運命的に惹かれあい悩み葛藤する。自分に嫉妬する得体のしれない存在を知り恐怖に陥った女は、ある男と出会い試練に打ち勝つ。この全てが、愛のためだ。

愛の前で心が動かない人はいない。だから私達は誰かを恋しがり、嫉妬し、時に復讐まで夢見る。このように多彩な感情で愛を歌うミュージカルが今年の冬、上演される。久しぶりに再演するヒット作『モンテクリスト』『アイーダ』、同名映画を原作とする『ボディーガード』だ。

 

ミュージカル界のブルーチップ、カイ合流...『モンテクリスト』

『モンテクリスト』(19日から忠武アートセンター 大劇場)は、14年の間監獄で悔しくも獄中生活を送らなければならなかった男、エドモンが、モンテクリスト伯爵として舞い戻り繰り広げる復讐を描いた作品。復讐劇の始まりと言われているアレクサンドル・デュマの同名小説が原作だ。ブロードウェイで有名な作曲家フランク・ワイルドホーンと作家ジャック・マーフィーがコンビを組んで舞台化した今回の公演は、初演の思い出と感動を蘇らせることに焦点を合わせた。

初演から出演してきた俳優陣が今回も帰って来る気品がありながらも力強いと定評のリュ・ジョンハン、極と極を行きかう感情を巧みに表現してみせるオム・ギジュン、甘美な魅力を持ったシン・ソンロクがエドモンドを演じる。彼らと一緒に『ジャック・ザ・リッパー』『三銃士』などでミュージカル界のブルーチップとして浮かび上がったカイが合流して、新しさを加えた。

作品は復讐を全面に掲げる。しかし、その根底に敷かれているのは、まさに赦しと和解、愛だ。エドモンの脱出を助けるファリア神父が死ぬ前に残した台詞、「赦しがない憎しみと復讐は、結局自身の人生を破滅させるものである」に、作品のメッセージが集約されている。ラストを飾る場面もエドモンと恋人メルセデスの再会だ。

制作者EMKミュージカルカンパニーは、“膨大な内容の原作と違い、ミュージカルは比較的シンプルなストーリー構成になっている。単純でありながらも明快なストーリーラインで、誰でも共感できるテーマを取り上げている”とし、“老若男女、皆が好きな大衆的という点が『モンテクリスト』の最大の魅力”と語った。

<写真キャプション>2013年に公演したミュージカル『モンテクリスト』の場面(写真提供:EMKミュージカルカンパニー)

 

華麗さはそのままに、変化は新しい俳優へ...『アイーダ』

“憎悪の時代を生きた2人の恋人の物語。戦争の中で花開いた愛の物語”

ポップ歌手エルトン・ジョンと作詞家ティム・ライスのコンビが作ったミュージカル『アイーダ』(来年3月11日までシャルロッテシアター)は、古代エジプトとヌビアの間で起こった戦争と、その中で花開く運命的な愛を描いた作品だ。2005年国内初演以来、計3回の公演を通して55万人の観客を集めた人気作だ。

4年ぶりに再演される『アイーダ』は、新しい俳優で雰囲気の転換を目指した。ヌビアを率いる王女アイーダ役には最近ミュージカル界で注目を浴びている俳優ユン・コンジュ、チャン・ウナがキャスティングされた。アイーダと恋に落ちるエジプトの将軍ラダメス役はミン・ウヒョクとキム・ウヒョンが、2人の間で三角関係をなすエジプトの王女アムネリス役はアイビー、イ・ジョンファが演じる。

開幕を前にして最近開かれた記者懇談会でユン・コンジュは「アイーダがラダメスを想う気持ちは、ただの愛ではない。とても大きな愛。言葉では表現することの出来ない愛」と説明した。それだけに俳優たちの悩み中心は“それぞれの愛情をどう表現するか”のようだ。ユン・コンジュは「ラダメスとの関係に集中してキャラクターを表現しようと努力した」ミン・ウヒョクは「ラダメスがアイーダを愛するようになったのは、一種の尊敬心だという考えで、キャラクターに近づいていった」と話した。

もちろん切ない愛だけが『アイーダ』の全てではない。55万人を集客することが出来た他の秘訣は、華麗な舞台だ。今回も約800着の衣装と60余りのカツラ、900個の固定照明と90台を超えるムービーライトなど、かなりの物量(舞台装置)を投入してセットを作り上げる。古代エジプトを現代的に再解釈した舞台を鑑賞する面白みがある。

<写真キャプション>ミュージカル『アイーダ』の一場面 (写真提供:シンシカンパニー)

 

映画の感動、舞台で再現...『ボディーガード』

『ボディーガード』(12月15日からLGアートセンター)は、1990年代に一世を風靡した同名映画を原作として作られた国内初演作だ。ストーカーに追われる歌手レイチェル・マロンと彼女を守るボディーガードのフランク・ファーマーのロマンスを描いた。1992年にホイットニー・ヒューストン、ケビン・コスナー主演で公開された映画は、「アイ・ウィル・オールウェイズ・ラブ・ユー」(I Will Always Love You)という名曲と共に今でも語り継がれている。

ミュージカルは2012年、ロンドンのウエストエンドで初披露された。原作者ローレンス・カスダンがアドバイザーとして参加し、計6年間の企画・開発段階を経て、完成度を高めた。

ミュージカルでは映画の挿入曲はもちろん、ホイットニー・ヒューストンの代表曲を含む15曲のミュージカルナンバーを聴くことができる。より簡潔になったストーリーにスピード感ある演出が、映画とは違う点だ。

主人公が歌手であるだけに、俳優も歌唱力がある俳優の選抜に焦点を合わせた。『ウィキッド』『デスノート』『キンキーブーツ』などで歌唱力と演技力を認められたチョン・ソナ、歌手ヤンパとして知られているイ・ウンジン、Mnet『ボイスコリア』出身のソン・スンヨンがレイチェル・マロン役としてミュージカルに初めて挑戦する。フランク・ファーマー役にはパク・ソンウン、イ・ジョンヒョクが挑戦する。
初演であるだけに、成功のカギは原作の感動をどれだけ上手く生かすことが出来るかにある。

ウォン・ジョンウォン順天郷(スンチョンヒャン)大学新聞放送学科教授は「今作を海外で先に観たが、映画が原作のミュージカルに対する期待を十分に満足させてくれた。映像で人気を得た作品が“演劇の文法”を通して、どのように再現されるかを重点的に見たら面白いだろう」とし、「原作の歌を臨場感のあるライブパフォーマンスで楽しむことが出来るという点でも魅力的な作品」と、期待ポイントを語った。

<写真キャプション>ミュージカル『ボディーガード』のイギリス ウエストエンド公演場面(写真提供:CJE&M)

edaily(イーデイリー)の記事より

原文はこちら

翻訳:リュ・ジョンハンプロジェクト

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